【第二回】「ピッチ・パーフェクト2」あらすじ、感想
どうも、こんにちは。
今日は三時間ほど暇になって映画でも見ようかと思ったんですが、時間が合うのが一本しか無くてとりあえずそれ見てきました。
ピッチ・パーフェクト2(2015年)
2012年に公開されたものの続編ですね。
今度3もやるらしいです。
あらすじ
女性だけのアカペラチームとして全米大会初優勝を飾り、以来3連覇中の「バーデン・ベラーズ」は向かうところ敵なし。ところが、オバマ大統領の誕生日を祝う祭典で大失態を犯してしまい、活動禁止の処分に…。やっと与えられた一度きりの名誉挽回のチャンスは、アカペラ世界大会で優勝すること!? しかし優勝することに対するプレッシャーや、卒業後の進路の不安などから、いつしかみんなの心はバラバラに。そんなときに、ドイツから史上最強のライバル“ダス・サウンド・マシーン”が現れて、ベラーズはますます窮地に追い込まれてしまう…。はたして彼女たちは、プレッシャーに打ち勝ち、友情を取り戻し、世界のステージに立てるのだろうか!?
以上、公式サイトより
上記のように、空き時間に見たので当然ながら前作は見てません!(えっ)
でも、小難しいストーリーは無いので初見でも問題無く見れますね。
キャラクターや人間関係の説明は無いので、まあそれも見てる内にわかってくるんですが、より楽しみたい方は前作を見ておきましょう!
いや、本来それが普通なんですけどね。
なので誰が黒幕とかトリックが〜ってことは無いんですが、まだ見てない方は以下ネタバレ注意でお願いします。
私は前作から存在自体は知ってまして、方々で話題になったのも知ってましたが気付いたら上映が終わってたといういつものパターンですね。
大学のアカペラサークルの女の子達の話ということで、うた魂(2008年邦画)やスウィングガールズ(2004年邦画)みたいな爽やかな青春ストーリーなのかなと期待して行きました。
まあ、スウィングガールズはジャズサウンドで楽器演奏なんですが、話の構成ってことです。
実際、大まかなストーリーの構成としては王道と言うか、強敵の出現→敗北→挫折→修行→勝利というジャンプ黄金パターンですね。
今回は続編ということで、0から成り上がるサクセスストーリーではなく頂点からの陥落、そして復活という内容になっています。
ただ根本的に私の求めたものとは違うものがありました。
全 然 爽 や か じ ゃ な い !
物語全体を通して終始一貫してツッコミ不在のまま下ネタとブラックユーモアが繰り返され、どこで笑ってどこで泣いて良いのかわからず戸惑いの感情しかありません。
下ネタというのも、かなり下品な内容ですね。
それも小学生が喜ぶような下品さではなく、女子特有の生々しい下ネタというか。
ブラックユーモアもなかなかどぎつくて、序盤でメンバーが「世界大会で優勝出来たら汚名は返上できるわよね」という質問をしたのに対してアカペラ協会の二人が爆笑しながら「それだけは絶対に無い。アメリカは優勝したことが無いし、世界に嫌われてるから」とか「彼女は国境を越えるのにもバク転するだろう(亡命してきた生徒に対して)」とか「韓国代表には誰も興味無いからその間にチン○晒す」とか、笑って流せないレベルの内容がバンバン出てきます。
それらに対する映画内のキャラクターのリアクションは特に無く、むしろ下ネタに下ネタを被せていってカオスになります。
「これどう収めるんだろう」と思っていると、唐突に歌い始めるわけですね。
これがまた素晴らしい歌声なんですが、私が思うに、普段の会話シーンをあえて過剰に汚くすることで歌唱シーンをより素晴らしく聞かせる為の演出なのではないでしょうか。
女子が自分の可愛さを際立たせる為にグループに一人ブスを入れるかんじですね。
というか、そう思うことにしないと全編通しての下ネタの必要性がわからなくなります。
まあ、そういう映画だからと言われればそうなんですけど。
ジャンプ黄金パターンと言いましたが、序盤にベラーズメンバーは大会に出禁になりショーなどへの出演も断られてしまいます。
何があってそうなったかは、ここではとても書けませんが!
てか最初にオバマ大統領っぽい人が出てましたがあれって本人なんでしょうか?
本人の映像を借りて合成しただけでしょうか?
デンジャラスノッチ以上のそっくりさんなんでしょうか?
話を戻すと、ベラーズの代役として出てくるのが欧州チャンピオンのドイツチーム「ダス・サウンド・マシーン(以下DSM)」です。
初登場のときのシーンは本当に凄くて、失礼ながら「さっきまでベラーズの舞台に感動してた自分はなんなんだろう」とさえ思うほどにこの時点では圧倒的差がありました。
そこから、ベラーズメンバーはDSMの得意なジャンルで戦うべく色々と試行錯誤しますが全然上手くいきません。信頼は失われる一方です。
そんな中、DSMと直接対決をする中盤の山場があります。
ベラーズは大会には出禁なので、暇な金持ちのおっさん(自称世界一のアカペラファン)が自宅の地下で開いたレーザー・ニンジャ・ドラゴン・マッチとかいう趣味の大会で戦うことになります。
他にも強豪っぽいアカペラチームが出てきて、さながら天下一武道会のような状態になります。もしくは刃牙の地下最大トーナメント。
即興で出されたお題に合わせ歌唱し、相手チームに合わせ歌で返して攻撃していくというなかなか面白い戦いです。
中盤の山場と書きましたが、私の中では全編通してここが一番面白かったかもしれません。
まあ、色々とあってここはDSMが勝利を収めます。
そんな中、ベラーズメンバーは恋に生きるもの、音楽プロデューサーに弟子入りするもの、カバーが基本のアカペラで自作曲を歌うもの、ベラーズを捨てきれず卒業出来ないものなどメンバーの心がバラバラになっていきます。
そこでこれまた王道の合宿ですよ!
「合宿は良いわ。大会に向けて心が一つになる」とやたら出てくるエミリーの母ちゃんも言ってました。
ここで出てくる合宿所の教官が、よくわからないんですが前作に出ていて卒業したメンバーなんでしょうか?
あと、やたら地面にトラップが仕掛けられてるあそこは結局なんの施設だったんだ。軍隊の訓練所?
また色々あって、再び心を一つにしたベラーズ。
「最後は自分達の音楽で勝負する」ことになりました。
物語クライマックスのアカペラ世界大会ですが、もうちょっと時間使って各国代表を細かく描写してほしかったですね。
カナダは国旗でわかりましたけど、他はインドっぽいとかアフリカのどこかとか、歌もまともに聴かせてもらえずに進んでしまってちょっと駆け足だったかなと思います。
その分でDSMとベラーズの演技を削るくらいならあれで良いんですが、もっと他に削れるシーンあったのでは……?
そして言いたいことは、最後までDSMの方が上だった!と思う。
アカペラの世界はカバーとアレンジが基本でオリジナルは論外って話じゃないですか。
エレキギター持って演歌やっちゃうくらいのタブーじゃないですか。多分。
もしそのタブーで人々を魅了するものが作れたならそれは本当に凄いというか、誰にも真似出来ない武器になりますけどね。
ベッカの師匠の音楽プロデューサーも、最初は口だけで大した人ではないのかなと思ってたんですが、後半で「他人のアレンジをしてるだけでは成功出来ない」というナイスアドバイスを送ったじゃないですか。
まあ、あの時点では「だからお前じゃ無理だよバーカ」くらいの気持ちだったと思うんですが、そのしばらく後でベッカとエミリーのデモを聞いて「自分にしか出来ないと思っていたことを他人にやられると悔しい」って言ってましたよね。
あそこはベッカが立ち直るきっかけのシーンであり、ベラーズの最後のライブの方向性が定まった最重要なシーンであり、あの音楽プロデューサーが口だけじゃなくちゃんとした人だったんだと初めて判明するシーンなんですよね。
前半の他人からアイディアを募ってダメな部下に当たり散らす典型的ダメ上司から一転して、一気に私の中で株が上がりました。
「他人の真似は良い耳とパソコンがあれば誰にでも出来る」とか、胡散臭いわりに序盤から良いこと言ってるんですよね。
ただ、ここでアカペラの基本理念とベラーズは真逆を向いてしまうことになります。
音楽プロデューサーのおかげで成長したベッカですが、オリジナルは暇な金持ちが激昂するほどアカペラでは御法度。一体どうするのか!?
とりあえず、DSMに対抗してやってた火とかプロジェクションマッピングを使ったダンスパフォーマンスはやめてシンプルに歌とボイパで勝負。これは本来の彼女達の持ち味なので当然のこと。
エイミーのソロパートでは、彼女が合宿後にセフレから婚約者に昇格した思い出のあの歌。
まあ、ここまでは普通というか、予想の範囲内でしたが。
曲の中盤部分で暗転からの、歴代ベラーズメンバーのオールスター出演!
え〜!?
正規ベラーズメンバーすら世界大会に向けてはまともな練習時間無かったはずなのに、いきなりおばちゃん達30人くらい集めて合わせて歌うって、なんの伏線も無しかよ!
いや、伏線と言えるかどうか怪しいレベルですが、やたら出てきた新メンバーエミリーの母親は元ベラーズメンバーで伝説の5オクターブの声を持つとかいう話はありました。
ただ、あれはエミリーの理想のベラーズとは違う現状に幻滅した彼女を支えて繋ぎ止めるだけのキャラクターとして度々アドバイスをしに出てきてるのかと思いましたが、まさか最後にいきなり出てくるとは。
だったら「ママも最近またレッスン始めたのよ」とかいうセリフがあっても良いじゃないか!
多分、前作に出てて卒業したメンバーも集まってくれてたんですよね?キャンプの教官とか。
まあ、そんなサプライズ演出もあり、曲のクライマックス。
エミリーとベッカの共同製作のオリジナル曲をアレンジして全員で歌います。
アカペラ協会の二人も最初は困惑してましたが、最後は絶賛。
かくして、ベラーズは優勝しメンバーはそれぞれ巣立っていくのでした。
でも、私は言いたい。
絶対に負けられない舞台でオリジナル曲で勝負するという展開は良いですよ。燃えますよ。
ただ、序盤から思ってましたがエミリーの曲ってそこまで何かを変えるような劇的な才能を感じないというか、他の名曲に比べて遜色は無いのかもしれませんが「これはとてつもなく凄い!」と思わせるほどの何かは感じなかったんですよね。
だからこそレーザー・ニンジャなんちゃらの暇な金持ちも怒ったわけですし、まあ、あそこでオリジナル曲を持ってくるということ自体に意味があるのかもしれませんが、ある意味でDSMがお膳立てした観客のボルテージをベラーズは貰ったみたいな形ですよね。
DSMは、あれはあれで完成形だと思います。
スタイルの違いであって、両者にほぼ差は無いはずです。
ほぼと言うのは、それでも私はDSMの方が上だと感じたからですが、その辺は好みの問題なので。
結局、パフォーマンスの順番が勝敗を分けた気がするんですよね。基本的に人間の海馬の記憶容量はそんなに持たないので、後にやった方が有利ですし。
ただ言いたいのは、序盤の圧倒的な差からこの僅差まで持ってきたのは事実だということです。
なんか悪口ばっかり書いちゃいましたが、私はチケット代払う価値のある映画だと思います。
歌唱パートのCDがあるなら普通に買うくらいアカペラは素晴らしい完成度でしたし、これからテレビでやってるアカペラ大会とか見れないかもしれないですね。
余談ですが、DSMを予告とかで見たときはロシア代表かなと思ってました。
色々な都合でロシアを出せなかったのかもしれませんが、つり目で金髪で嫌味でっていうのが私の中で「アメリカ映画に出てくるロシア人」そのまんまなんですよね。
もしかして、アメリカ人の考える敵の外国人ってどこの国であってもあんなかんじなんですかね?
なんか、最後までDSMがドイツっていう感覚が無かったです。
それと関係あるのか無いのか、ベッカの彼氏が乗ってる車がフォルクスヴァーゲンでしたね。
DSMがベラーズの代役で出たのも車の発表イベントでしたし、ドイツがアメリカ人のお株を奪うみたいな表現でしょうか?
アメリカの車事情を知らないので、今は普通にドイツ車も一般的に流通していて特に意味は無いのかもしれませんが。